プロジェクトの背景
日本国内の食品製造・加工業のお客様(従業員約150名)が、Webサイトのリニューアルをご検討されていました。目的は2つ、BtoB取引先様への製品紹介と、若い世代に向けた採用ブランドの構築です。制約となったのは、20年以上稼働しているCMSを本プロジェクトの範囲では刷新できない点でした。VAONは開発・テスト・リリースを担当し、14名体制で4か月間対応しました。
課題
20年以上稼働するCMSで、コードとUIが密結合している
稼働中のCMSアーキテクチャは、表示と内容が分離されていません。UIを変更するたびにソースの手作業修正が伴います。この工数は修正サイクルごとに繰り返し発生し、過去の更新作業が長期化していた原因でもありました。
開発期間中にUIの調整が複数回必要になる
デザインの方向性は当初に固定されるのではなく、進行に伴って確定していきました。BtoB取引先様と採用候補者様の双方を対象とするサイトでは、ページ間の一貫性が欠けると、いずれの読み手にも不十分な印象を残します。
要件が日越の言語境界を越える
言語と表現方法の差異により、要件の伝達に時間がかかります。4か月のプロジェクトでは、初週の認識のズレが第6週になって表面化することがあり、その時点では修正コストがまったく異なります。リスクの所在は個人の語学力ではなく、要件が書面化されているかどうかにあります。
VAONのソリューション
VAONはCMSを刷新するのではなく、既存CMSに適合するHTMLを生成する方式を採用しました。CMS刷新はアーキテクチャ上の問題を根本解決しますが、スコープと予算の範囲外であり、加えてお客様側の運用チームに再教育が必要となります。CMSを維持したままHTML生成を自動化することで、稼働中の運用に手を触れずに4か月で成果を出せると判断しました。
進め方
ソースをCMS対応HTMLへ変換する自動処理を構築し、コマンド一つで実行できるようにしました。本プロジェクトの効率化の大部分は、この仕組みによるものです。
CMSを刷新せず、既存CMSに適合するHTMLを生成することで、お客様の運用に手を触れずに対応しました。
フィードバックの各ラウンドについて、文書での説明ではなくデモを作成しました。UIの変更については、実際に見ていただくほうが説明よりも議論が短くなります。
業務要件は通訳を介さず日本語で直接確認し、認識合わせの記録を書面で共有しました。書面化してあることが、数週間後に結論を検証できる根拠になります。
開発チームへ引き渡す前に、AIを用いて要件内容の分析と突き合わせを行い、解釈のズレを抑えました。ここでのAIの役割は確認と突き合わせであり、意思決定を代替するものではありません。
主な機能
BtoB取引先様向けの製品紹介ページ。
若い世代の候補者様に向けた採用ブランド構築のための採用セクション。
提供価値
HTML構築工数を70%削減:CMS仕様に沿った手作業でのHTML作成と、コマンド一つでの自動生成とを、本プロジェクト内の同一ページ量で比較した結果です。自動化以前は、この作業が最も工数を要する項目でした。
フィードバック1ラウンドを1〜2日で完了:元請け企業様からフィードバックを受領してから、確認可能な修正版が用意できるまでの時間です。この速度を維持できたのはHTML自動生成によるもので、従来工数の大半は「何を変えるかの判断」ではなく「ページの作り直し」に費やされていました。
通訳を介さない日本語でのやり取り:要件を日本語で直接確認し書面に記録するため、翻訳の中間工程が発生しません。結果として、確認事項は待ち行列として蓄積されるのではなく、その営業日のうちに処理されました。
難易度の高い案件を、検収まで完遂しました。調整ラウンドが多く、スケジュール面の負荷もある案件でしたが、VAONは検収完了まで対応を継続しました。検収完了時、元請け企業のプロジェクトマネージャー様より:「本当に本当に、つらい仕事になりましたが、ありがとうございました!!」