これまで、多くのベトナム開発会社は次のような基準で評価されてきました。
- 技術力
- コミュニケーション力
- 日本語対応力
- コスト効率
- 開発スピード
これらは今でも重要です。
しかし、もはやそれだけでは十分ではありません。
AIによってソフトウェア開発の前提が変わりつつある今、市場は開発パートナーを見る目も変え始めています。
お客様が問うのは、もはや
「依頼したものを作れるか」
だけではありません。
むしろ今は、
「このチームは、何を作るべきか、なぜそれが必要か、どうすれば事業価値につながるかまで一緒に考えられるか」
がより重要になっています。
この変化は非常に大きいです。
なぜなら、AI時代にはコーディングそのものは以前より加速しやすくなる一方で、
本当に難しく、かつ価値が残るのは、
- 事業課題を理解すること
- 適切な解決策を構造化すること
- より良い意思決定を支援すること
だからです。
これから選ばれる開発パートナーは、単にコミュニケーションが良い会社でも、実装が速い会社でもありません。
事業パートナーとして思考に参加できる会社です。

なぜ「コミュニケーションが良い」だけでは足りないのか
これまで多くのオフショア企業にとって、「コミュニケーションの良さ」は大きな強みでした。
それ自体は今でも重要です。
コミュニケーションが悪ければ、遅延、誤解、手戻りが増えるからです。
しかし、市場はすでにその先を見ています。
お客様が求めているのは、単に話しやすい相手ではありません。
今、より求められているのは、
- 事業の背景を理解できること
- 良い問いを立てられること
- 弱い前提に気づけること
- リスクを早く見つけられること
- 要件と事業成果をつなげて考えられること
です。
つまり、コミュニケーションは今や差別化要因ではなく、前提条件になりつつあります。
レスポンスが早いこと、
日本語で話せること、
やり取りがしやすいこと。
これらは大切ですが、それだけでは強い価値にはなりません。
本当の変化は「What」から「Why」への移動
従来、多くの開発会社は「What」の層で価値提供をしてきました。
お客様が何を作りたいかを持っていて、
ベンダーはそのスコープを受け取り、
機能を実装する。
このモデルは今も存在します。
しかし、AIによってこの「What」の層は今後ますます比較されやすくなります。
コーディングが速くなり、安くなり、標準化されるほど、実装だけの価値は差別化しにくくなるからです。
だからこそ、市場はより上の層を見始めています。
今後より価値が高まるのは、
- How:設計力、解決策の構想力、進め方
- Why:事業背景の理解、課題設定、価値創出
です。
チケットを受けて実装するだけの会社は、今後より置き換えられやすくなります。
一方で、正しい課題設定と解決策づくりに入れる会社は、簡単には代替されません。
日本向け案件で特に重要になる理由
日本向け案件では、これまで多くのベトナム企業が、
- 日本語対応
- 円滑なコミュニケーション
- 丁寧な進行
- コスト効率の良いオフショア
といった強みで評価されてきました。
これらは今でも有効です。
しかし、より上のポジションを目指すなら、それだけでは足りません。
お客様が本当に求めているのは、
「日本語ができるチーム」
だけではなく、
「自社の事業を理解し、一緒に考えられるチーム」
です。
この違いはとても大きいです。
日本語対応は摩擦を減らします。
しかし、事業理解は価値を増やします。
前者はやり取りを改善し、後者は成果を改善します。
事業共創パートナーとは何か
本当の意味での共創パートナーは、単に「要件定義から参画できます」と言うだけでは足りません。
この表現はすでに多くの会社が使っています。
本当に重要なのは、
「その上流参画が、実際にどのような価値を生むのか」
です。

事業共創パートナーとは、例えば次のような動きができる存在です。
1. 機能要望ではなく、事業課題から会話を始める
単に
「どんな画面が必要ですか」
「仕様書はありますか」
と聞くだけではありません。
それに加えて、
- 今、事業として何が一番の課題か
- この施策で何を改善したいのか
- 何もしなかった場合に何が起きるのか
- どの前提がまだ曖昧なのか
まで確認します。
これにより、会話のレベルが実装から課題設定へ上がります。
2. どう作るかだけでなく、何を作るべきかを一緒に考える
多くのプロジェクトでは、最初の仕様書が最終解ではありません。
それは、お客様が現時点で見えている理解を言語化した最初の形にすぎません。
強いパートナーは、
- スコープ
- 業務フロー
- ユーザー体験
- 優先順位
- ROIの出し方
まで一緒に整理できます。
ここに上流価値があります。
3. 技術判断を事業インパクトに結びつける
技術選定を、エンジニアだけの好みとして語るべきではありません。
強いパートナーは、アーキテクチャ、体制、実装方針を
- スピード
- 保守性
- コスト
- リスク
- 拡張性
- 運用影響
といった事業の言葉で説明できます。
4. 成果に対して共同責任を持つ
本当のパートナーは、
「依頼された通りに作りました」
で終わりません。
曖昧さを減らし、判断の質を上げ、予測できるリスクを早く潰し、より良い結果へ近づける責任を一緒に持とうとします。
これは、お客様の責任を奪うという意味ではありません。
より良い成果に向けて積極的に関与するという意味です。
小さなブティック型企業が有利になり得る理由
もう一つ重要な変化があります。
大手企業には当然、規模の強みがあります。
一方で、小規模で創業者が前に出る会社には、別の強みがあります。
それは、深い関与です。
中規模案件では、多くのお客様が求めているのは単なる人数ではありません。
むしろ、
- シニア層からの速いフィードバック
- 事業理解の深さ
- 直接的なコミュニケーション
- 強い当事者意識
- 経営視点を含む提案力
です。
この点で、ブティック型のパートナーは非常に魅力的になり得ます。
人数が多いから強いのではなく、
距離が近いから強い。
そのような価値です。
これからベトナム企業が変えるべきメッセージ
今後、ベトナムの開発会社は、自社の見せ方を変える必要があります。
もう、
- ワンチームで開発します
- 優秀なエンジニアがいます
- 日本語で対応できます
- 要件定義から参画できます
だけでは足りません。
これらは「どう働くか」の説明であって、
「なぜ選ばれるべきか」の説明ではないからです。
これからより強いメッセージは、例えば次のようなものです。
- お客様と一緒に、何を作るべきかから考える
- システム判断を事業成果につなげる
- 実装だけでなく、課題設定から伴走する
- 事業理解からデリバリーまで一貫して支援する
- 人月ではなく、価値でパートナーシップを作る
これが、これからの市場でより強いポジショニングになります。
まとめ
「ワンチーム」は、今でも良い運営モデルです。
しかし、それだけではメインメッセージとして弱くなりつつあります。
AI時代において市場が求めているのは、コミュニケーションの良さや実装支援だけではありません。
今後より選ばれるのは、
- 事業背景を理解し
- 前提を問い直し
- より良い解決策を形にし
- デリバリーを事業価値へつなげられる
パートナーです。
それが次の信頼の形です。
そして、価格競争から抜け出したい開発会社にとっても、それが次のポジショニングになります。
VAONは、「ワンチーム」で働くだけでなく、
一緒に考え、一緒に決め、一緒に事業価値を作るパートナーでありたいと考えています。